海苔を採るおばさんとコクガン
海苔を採るおばさんと海苔を食べるコクガン(2006年2月4日/函館市)

コクガンとの共生

コクガンの越冬について

 天然記念物のコクガンについては既に 函館近海のコクガン渚にて を発表しました。
 「函館湾周辺沿岸」は環境省選定の 日本の重要湿地500 の60番に指定されています(<インターネット自然研究所)。選定理由は勿論コクガンの渡来地だからです。日本で越冬するコクガンの大多数(1000羽弱でしょうか)が函館近海にいます。

函館山が見えます
函館山が見えます
 2006年1月29日にこの冬サボっていたコクガンの初観察に行きました。
 ここは下海岸(戸井や恵山側をこういいます)の旧市街です。海越しに見えるは函館山です。左右のテトラポットのそばにいるコクガンが判りますか?
 干潮時にのみコクガンは沖合いから岸辺に来て、海草を採食します。

コクガンのペアです
コクガンのペアです。一生連れ添うそう。
 コクガンは冬鳥として繁殖地であるシベリアなどの北極海から、渡り中継地の道東の風連湖や野付湾に数千羽単位で渡来します。大部分は中国大陸に渡って行きますが、その内約1500羽前後が北海道や東北地方で越冬します(年によって差があります)。
 マガンより小さく、全体に黒っぽい色で、首にレース状の白い環が見られるのが特徴です。

港の舟揚げ場で
港の舟揚げ場で
 コクガンはマガンやヒシクイと共に、1971年に国の天然記念物に指定されました。しかし、渡来数の増加しないことや戦前まで狩猟鳥(1947年に狩猟鳥から除外されるまで、多数が狩猟されました)であったことから『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物』鳥類(環境省・レッドデータブック)では「絶滅危惧U類」(絶滅の危険が増大している種)になっています。

岩場での群
岩場での群
 人馴れしていなくてカメラを持って近付くと、どんどん離れて遠ざかって行きます。
 しかし海苔を採る漁師さんは無害と思っているのか、驚くほど近くにいます。
 漁師さんたちも大事にしているようで、家内が話した漁師さんは「白鳥も三羽くらい来るんだよ」と言ったそうです。野鳥編の「渚にて」がそんな話です。

 コクガンの函館近海への飛来数は、函館近海のコクガン で取り上げた2001年は、例年より200羽多い約700羽の過去最多の飛来があると函館新聞に載りました。
 やはり函館新聞によりますが、2003年の日本野鳥の会函館支部(有馬健二支部長)の調査では、2月は例年越冬数が最も多くなる時期で、15〜17日の3日間の調査では、志海苔海域(2月15日)で115羽、上磯海域(同16日)で264羽、南茅部海域(同17日)で660羽、総数1029羽を確認しました。同支部ではその後の観測数が伸びないことから、この3日間をピークとし、その冬の最多越冬数と定めました。
 これが今のところ最多の数のようです。

コクガンとの共生

冬の日の光を浴びて
冬の日の光を浴びて
 2006年2月4日に1月29、31日に引き続きコクガンを見に行きました。
 晴れていましたが、寒くて、風の強い日でした。
 コクガンはあちこちにいましたが、「海苔採りの漁師さんとの共生」という写真狙いなので、なかなか良い場面がありません。
 明るいと海はキラキラ輝いて綺麗なのですが、黒い顔のコクガンの目が判らない写真になります。

岩場に立つ
岩場に立つ
 案の定、目がはっきりしません。波がひいた岩場で餌をを食べます。
 コクガンが好むのは緑藻類の、アオノリやアオサの仲間です。潮がひくと広い磯が現れる場所が餌場にふさわしい条件ですね。
 こういう場所は同時に人間も海苔摘みに来ます。

コクガンの群
コクガンの群(2006年2月4日)

 この日はリスを見に行くための長靴姿で、更に寒さよけに履いた釣り用のズボンのおかげか?近くまで寄ることが出来ました。こんな鳥です。

今日の舞台の全景です
今日の舞台の全景です
 この日の舞台の全景です。
 私の前を横切っていったコクガンの群れが、磯で海苔を採っているおばさんの方に近づいて行きます。
 思ったような場面になるまでに少し時間がかかって、車の運転席で待っていてくれた家内は、私が海に落ちたのでは、と思ったそうです。
 この後がトップの写真になります。

もっと近寄る
もっと近寄る
 一部は飛んで行きましたが、残った少数はずい分とおばさんの近くを通っていきました。
 函館近海のコクガン では、上磯町(2月から北斗市になりました)の海岸で、アサリを採る漁師さんたちとコクガンの近接した写真を発表しました。
 相手を気にせず、お互いに関わらないで暮らすのが本当の共生ではないでしょうか。

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[作成:2006年2月18日]

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